アラスカを想い、アフリカを想う
昨年の秋、静岡のIZU PHOTO MUSEUMというところでやっていた巡回展「没後20年 星野道夫の旅」を(仕事の出張にかこつけて)見に行く機会があった。行ってよかったし、もっと大きな器で大々的にやっていい内容だと感じたが、「動物写真」というジャンルそのものがまだ日本では大きな集客を見込める領域にはなっていないのかもしれない。不幸な出来事で星野道夫という作家性の高い写真家を失ったこの国のこの領域は、まだそのことによる「遅れ」のようなものを取り戻せていないのかもしれない。
星野さんが主なフィールドとしたアラスカは、まだ訪れたことがない。また、アフリカにも行ったことがない。もとより、アラスカにもアフリカにも、出かけたいと思ったことがなかった。学生時代、沢木耕太郎さんの『深夜特急』を読みふけり、感化され、バックパッカー気取りでアジア、ヨーロッパをくまなく旅した。その後、仕事も含めて欧米やアジアには幾度も足を運んでいるが、アラスカとアフリカには縁がなく、「いつか行きたくなるならそのうち行くだろう」という程度だった。
動物写真の世界に出会い、星野さんのことをより知るようになり、または先日、旅行会社が主催する、動物写真家・山形豪さんのレクチャーを受けたこともあり、アラスカもアフリカも「近いうちに絶対に行ってみたい場所」として急浮上している。体力と軍資金と、なにより時間をどう捻出すればよいか。アラスカ出張とかアフリカ出張はどうあがいてもでっち上げることはできないだけに、己の手腕が問われるところだ。