Kagurazaka 45.Tokyoのブログ

専門誌編集者のブログです

写真ではなく画像であるということ

 自分なりに研究と考察を重ね、調べに調べ、カメラ売り場やメーカーのアンテナショップに幾度となく足を運び、その道の先人たちの話を聞くに聞いて、長らく光学一眼レフで通してきたカメラシステムを、ミラーレス一眼レフに、変えた。思い返せば、報道の世界に入った社会人1年目から光学ファインダーに親しみ、撮れているかいないかにびくびくする若手時代を過ごし、ここ十数年は、撮った刹那に背面液晶を覗きこむ自分の所作を忌み嫌い、なのにEVFにはいっこうに目が慣れない、そんなカメラライフを仕事でもプライベートでも歩んできた。でも、いよいよそんなことは言っていられないということを悟った。

 もともと、フィルムの味わいを求めるみたいなレトロスペクティブな志向はなく、あえて重たい機材を持ち運んで「俺は撮っているぞ」的な自己満足に浸る向きでもない。光学ファインダーでなくなる点だけは最後の最後まで消化できずにいたけれど、「これなら大丈夫かもしれない」という電子ファインダーにようやく出会ったことで、踏ん切りがついた形だ(EVFがそのレベルに来たということか)。

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▲個人的なミラーレス時代の幕開け……。これでいいはず、これでいいはず……。

 このかん、日本の、というよりも世界のカメラ業界をリードしてきた光学メーカーたちの歴史や技術についても学んでみたが、知れば知るほど、フィルムからデジタルへの転換は傍目に見えている以上に大きな節目であって、もう、これからのカメラの世界、光学メーカーではいかんともしがたい技術が存在するということがわかってしまった。以前の、フィルムカメラからデジタルカメラに移行する段階ではそこまで考えられていなくて、「デジタルでもフィルムに近いレベルで撮れる」とか「デジカメでも仕事に支障ない」くらいの判断だったが、あのころあの橋で渡った河は、そんな程度の川ではなかったのだ。そんなことがわかり始めたタイミングで、写真家の小原玲さんが「これからはAFにAIを活用する時代になる」と話されているのを聞いて、ストンと腑に落ちた。

 光学屋さんにAIを開発しろといっても、なかなか難しいというか、おそらく、もう間に合わない。「もう、写真ではない。画像なんだ」と自分に言い聞かせたうえで、この河をしっかり渡ってみようと思う。