Kagurazaka 45.Tokyoのブログ

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ボノボに初めて会う

 日本では動物園でも飼育されていないようで、馴染みがなかったのだが、先日訪れたフランクフルト動物園で、完全にボノボにやられてしまった。
 ボノボチンパンジーの一種。「考古学的にみると,かつて地球上にはもっと多様な類人猿のなかまがくらしていたらしい。その中から小型類人猿のテナガザル類,大型類人猿のオランウータン,ゴリラ,ボノボチンパンジー,そしてヒトだけが,今も生き残っている」(京都大学霊長類研究所ホームページより)なかでも、「系統的にいえば、ヒトとチンパンジーの違いは、チンパンジーニホンザルの違いよりずっと小さい」(京都大学大学院人類進化論研究室ホームページより)という。そして、そんなチンパンジーのなかでもボノボは「地球上で一番ヒトに近いサル」というフレーズもあるくらいで、見た感じ、全くその通り。しぐさや動き、親ボノボの子供ボノボへの態度、ボノボを見ているこちらへの視線......。直立二足歩行する姿も、なんともたまらない。

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▲寝そべるボノボ。一つ一つの仕草が実に人間に似ている。

 おそらく“嫁ボノボ”を撮ろうとしていた自分に対して“夫ボノボ”が「おい、お前、何撮ってんだ!」とでも言わんばかりに体当たりしてきたり、ドイツの子供達が揶揄って声をかけると威嚇するように迫ってきたり(いずれも透明の壁にぶつかってしまうわけだけど、どの程度まで壁にぶつかっても大丈夫かもわかっている様子)、明らかにヒトとの間で一種のコミュニケーションが成り立っているように思える。
 専門家によれば、ボノボは女性優位で殺しあうことがない穏やかな人間性ボノボ性)だそうで、凶暴性を秘めるチンパンジーや人間よりもある意味高度な生き物と思えなくもない。冒頭に「飼育」書いたけど、ボノボのような生き物を人間がこんなところに閉じ込めていいのかな、という思いも芽生えた。
 野生のボノボを撮影する。これはものすごく難しいことらしいが、一つの夢が芽生えた訪問だった。